フランス、パリの窯で製作されたセーブルスタイルのカップ&ソーサーです。
当時の磁器にはよく見られることですが、裏側にメーカーのバックスタンプ等は見られません。
パリの窯で働いていた絵付け職人の多くは、実際にセーブル王立窯や、その他の王族が支援していた窯の工場で訓練を受けており、経験豊富で才能あるアーティストでありました。
カップに描かれているのは17世紀フランスを代表するサロニエール(社交サロンの女主人)の一人で、詩人ラ・フォンテーヌのパトロンとしても知られるサブリエール夫人の肖像です。
彼女のサロンにはラ・フォンテーヌの他、著名な劇作家のモリエールや、晩年の太陽王ルイ14世に愛され私的な妻となったマントノン夫人等そうそうたるメンバーが出入りをしていました。
サブリエール夫人自身、知識と教養に溢れ、人格的にも優れた人物であったようです。
また、紅茶に牛乳を入れて飲むミルクティーは彼女の発案であるとも言われています。
なんでも薄いティーカップに急に暑いお茶を注いで割れてしまうのを防ぐためなのだとか。
カップに描かれているものは実際に残されている肖像画をもとに描かれたものと思われ、風になびく美しい巻き髪やベール、真珠のジュエリーたち、イヤリングや首飾り、ドレスの襟もとを留めるハート型に連なったブローチ等が丁寧に描きこまれています。
この真珠部分はとても細かいのですが、白のハイライトを立体的に乗せてごく小さなビジューのように並べられています。
サブリエール夫人の右側、青いベールの端に絵付けをした職人のサインがイニシャルで入っており、
カップ裏側にはMme de la Sabliere(rの前のeはアクサングラーブが付きます)と金文字で絵のモデルの名が記されており、それ以外にメーカーのバックスタンプ等はありません。
ソーサーにはバグパイプのような楽器と楽譜、畑で使う鋤や鍬のような赤いリボンの付いた農具と、薔薇やマーガレットといった花々を乗せたバスケット等、彼女のサロンで生まれた詩や芸術の世界のような牧歌的なモチーフが描かれています。
絵付けは全てハンドペイントによるもので緻密で繊細なタッチと優しい色使いが実に見事です。
ふちはツヤのあるゴールドトリムで、カップの高台とソーサーの見込み部分にも金彩のリングがあります。
ハンドルはリングタイプで、こちらはマットな金彩で覆われ、極細の黒い線でアクセントが入れられています。
日本のお椀のように丸くゆったりとしたシェイプをしており、包み込まれるような柔らかさが感じられます。
生地は異物等の無い艶のある純白で、生地にはカップやティースプーン等による細かな擦り傷や当たり傷などもほとんど見当たりません。
カップのふちの金彩にわずかにかすれが見られるもののその他にはひび、かけ、貫入等の無いエクセレントコンディションです。
彼女が生み出したと言われるミルクティーを飲みながら、数々の芸術や文化の母体であった当時のサロンに想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
生産地 フランス パリ
年代 1850〜1899年
メーカー パリ窯 セーブルスタイル
サイズ カップ 口径8.8�僉々發�5�僉)�水容量200ml 通常時120ml
ソーサー 14.2��
状態 エクセレントコンディション
Note: 表記についての補足説明